ザキヤマという男の物語。

人生は冥土までの暇つぶし。自由気ままな男の物語を書き残しています。

発覚と決意

付き合い始める前、彼女はいろんな事を話してくれた。

 

アナタめっちゃ話しやすいから余計な事まで言っちゃうけどさぁ・・・

私の周りの環境の影響もあるんだけど、今までの彼氏は本当にチャラくて浮気にいつも悩まされて荒れてた。

それでも帰ってくるのならいいやって見ないフリして、自分が惨めだなぁって思っても独りになるのは嫌だったから我慢してた。

アメ車乗って見た目も派手でイベントとかで知り合いの男に囲まれてるような女だし。

ほら、タトゥーとかも理解出来ないんじゃない?

私は男に合わせる女じゃないし。

私たちの出会い方も人に話せないじゃん?(笑)

たまたま共通の知り合いがいただけって話だし、飲み友達で良くない?

 

ここまで言われても、僕はこの関係で終わりたくなかった。

俺は寂しいだけなのかな?

身体の関係だけもてたらいいのかな?

いつも僕は自問自答していた。

知り合ってから毎晩のように電話をし、お互いの身の上話をし、色々と気付かされる言葉も多かったし、彼女は自分を全部曝け出して、僕の理解を求めようとするスタイルがとても心地よかった。

過去は消せないからこそ包み隠さずに彼女は僕と向き合ってくれていた。

 

彼女を知れば知るほど気持ちは大きくなっていった。

同時に元カノの事を話さない罪悪感も膨らんでいった。

 

デート中にかかってきた友人からの電話以来、彼女の探りは一層厳しくなった。

気持ちがあるこその行動だというのは理解していた。

 

1つ嘘をつくことによって、複数の嘘を呼び込んでしまう。

つじつまなんて合うはずもなく、結局彼女は僕のウソを見抜いた。

僕がウトウトしている間にスマホを覗いた様だ。

突然起こされ「スマホ見れるようにしなきゃよかったね」と言い残し、彼女は飛び出して行ってしまった。

状況を理解するまでに数分を要した。

飛び出していった彼女からしばらくしてLINEが届く。

 

信じてたのに!嘘つき!嘘つき!嘘つき!

私一人が盛り上がってバカみたい。

去年切れてる?数か月前まで連絡取ってるじゃない。切れてるって意味わかってる?人を信じさせておいて、よくそんな酷いこと出来るね。

私は元カレでも、切れない関係の人は話してたはず。息子がお世話になってたり、間接的に繋がりがあってどうしても切れない人とかの説明はしてきたよね?正直に居た私ってなんなの?

やっぱり人を信じたらだめね。

つじつまが合わなかったことはこれで全部つながった。

そんなに気になるなら元カノに戻ればいいじゃない。

あーもう!胃が痛い!!誰のせいよ!!

 

連絡をとってしまったけど、会うのは違うと思った。

だから会っていない。

浮気とかじゃないから。

元カノの子供の事で相談があったんだよ。

信じてほしい。

 

他人の子じゃない!自分の子じゃないのに心配とかしなくていいでしょ?別れた人の子供を心配するとか何?

信じられない。全部嘘!どうせ元カノと私を天秤にかけてたんでしょ?よくわかった。

 

裏切った男の言葉を信用出来る筈もなく、数日間に渡って僕は責められた。

僕は、ただただ謝るしかなかった。

こんな状況になると言われる側も面倒になって逆切れをする場合がある。

しかし彼女の言葉には怒りよりも悲しみの方が多く感じ取れた。

そして、こんな状況になっても無視をせず、LINEでも電話でも会話をしてくれた。

何とか彼女を納得させなければという想いしかなかった。

彼女はただ怒っているのではない。

彼女という存在がありながら、元カノと連絡をとり、さらにそれを言わなかった僕の無神経さに彼女は落胆したのだと分かった。

だからこそ、こんなことで終わりにしたくない。

 

会っていないのかもしれない。

でもアナタは私にずっと嘘をついていた。

優しい嘘なんてない。

そうだね。

何も言えない。知らない方がいいだろうなんて、俺の身勝手な判断だったね。

 

「優しさとは忍耐」

ただ優しくする事なんて誰にでもできる。

長期的に考えてグっと耐えて相手の変化を待つのが本当の優しさ。

他の人はアナタを優しい人って言うんじゃないの?

でも私はそうは思えなくなった。

好きにして。もう私の事はいいから。

 

わかった。じゃあ自分が納得いくようにする。

彼女は怪訝そうな表情を見せたが、その後の言葉はなかった。

 

 

この日を境に、今まで見せてくれていた彼女の笑顔を奪ってしまった。

面倒だとかは思っていない。

彼女と一緒に居ることを諦めもしない。

信用を取り戻せるかは分からない。

でも僕から去ることはない。

彼女が僕に愛想を尽かすまで、僕は彼女の傍に居たいと本気で思った。